中小企業のための1on1実践ガイド

前回「中小企業こそ1on1が必要」である理由をお伝えしました。今回は、実際に1on1をどのように進めればよいのか、具体的な方法やポイントを解説します。

目次

1. 1on1の目的を明確にする

まず大切なのは、目的を明確にすることです。目的を明確にせず、何の準備もなく、何気なく面談を始めると、単なる雑談や業務報告で終わってしまい、形骸化してしまいます。

中小企業における1on1の主な目的は、以下の3つに集約されるでしょう。

  • 社員の悩みや不安を早期に把握し、離職や社内での孤立を防ぐ
  • 成長やキャリアの希望を共有し、社員の育成や自主性の向上につなげる
  • 信頼関係を築き、エンゲージメントを高める

この目的を面談者・被面談者の双方が理解したうえで、1on1に臨むことが重要です。

2. 実施頻度と時間の目安

1on1は「継続」が鍵です。理想は1回15〜30分、週1回程度ですが、月1回でも十分です。大切なのは、定期的に時間を確保し、面談者・被面談者の双方がその重要性を認識したうえで、継続的に取り組むことです。

忙しい中小企業では、業務の合間に時間を取るのが難しいかもしれません。その場合は、始業後や終業前の15分など、あらかじめスケジュールに組み込んでおくと実施しやすくなります。

3. 進行の基本ステップ

1on1を効果的に進めるためには、ある程度の「型」があると安心です。以下に、よく使われる基本的な進行ステップを紹介します。

  1. アイスブレイク(2〜3分)
    軽い雑談や体調の確認などで、リラックスした雰囲気をつくります。
  2. 前回の振り返り(3〜5分)
    前回の1on1で話した内容やアクションの進捗を確認します。
  3. 本題(10〜15分)
    業務の悩み、キャリアの希望、職場の人間関係など、自由に話せる時間です。
  4. まとめと次回へのアクション(3〜5分)
    話した内容を簡単に整理し、次回までに取り組むことやフォロー事項を確認します。

4. 面談者の心得とスキル

1on1の質は、面談者の姿勢によって大きく左右されます。特に中小企業では、社長や現場リーダーが面談者になることも多いため、以下のような心得を持つことが大切です。

  • 聴くことに徹する:アドバイスよりも、まずは相手の話をじっくり聴く姿勢が重要です。
  • 否定しない:「それは違う」と遮られると、部下は本音を話さなくなります。
  • 評価と切り離す:1on1は評価面談ではありません。安心して話せる場にすることが大切です。
  • 信頼を積み重ねる:1回で信頼関係は築けません。継続的な対話が信頼を生みます。

5. 話題に困らないための質問例

「何を話せばいいか分からない」という声はよく聞かれます。そんなときは、以下のような質問を参考にしてみてください。

  • 最近、仕事で困っていることはありますか?
  • 今、どんな業務にやりがいを感じていますか?
  • 今後、挑戦してみたい仕事はありますか?
  • 職場の雰囲気や人間関係について、感じていることはありますか?
  • 将来的に、どんな働き方をしたいと考えていますか?

質問は「Yes/No」で終わらないように、「どう思う?」「なぜそう感じたの?」と掘り下げることがポイントです。

6. 記録とフォローアップの工夫

1on1の内容は、記録を残しておくことが大切です。記録があることで、次回の振り返りや業務への活用がしやすくなります。

ただし、記録は評価資料とは分けて管理し、本人の同意を得たうえで活用することが重要です。社員の悩みには、人に知られたくない内容が含まれることもあるので、取り扱いには注意が必要です。

7. まずは「小さく始めて、続ける」

最初から完璧を目指す必要はありません。無理に話そうとせず、面談者・被面談者ともに自然体でいることが大切です。時には、特に話すことが思い浮かばないこともありますが、そんな時は無理せず、次回に回せばいいのです。

1on1は、続けることで必要不可欠な機会として浸透していきます。大切なのは、続けることです。「忙しいからできない」ではなく、「忙しいからこそ、対話の時間をつくる」。この姿勢が求められます。

まとめ:1on1は“仕組み”であり“文化”

1on1は、単なる面談ではありません。社員との信頼関係を築き、組織を強くするための「仕組み」であり、対話を大切にする「文化」でもあります。1on1は、いわば「コミュニケーションの制度化」です。

飲みニケーションや社員旅行といった従来のコミュニケーション機会が減少する中、1on1の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。

特に、人と人の結びつきが強い中小企業だからこそ、コミュニケーションの減少は深刻な問題につながりかねません。1on1を通じて、人を育て、組織を育てる。その第一歩を、すぐにでも始める必要があると考えます。

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